一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
固有覚は「自分のからだの地図」をつくる感覚
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
固有覚は 「自分のからだが今どこにあって、どう動いているか」を感じる感覚。
目をつぶっても自分の手の位置がわかるのは、固有覚が働いているからです。
情報は 筋肉・関節・腱 から脳に届きます。
① 力の加減がわかる(強すぎ・弱すぎを調整)
② 姿勢を保つことができる
③ 「自分のからだ」のイメージがつくられる
ぎゅっと抱きしめられると安心するのも、押す・引く遊びが楽しいのも、ぜんぶ固有覚の働き。
療育アプローチ① たっぷり「動く」体験を
固有覚は 使えば使うほど育つ 感覚。
- 押す・引く・ぶら下がる・ジャンプする遊び
- 抱きしめ・ぎゅっと圧をかける関わり
- 「強く・弱く」「速く・ゆっくり」を言葉で添える
- 叱るより前に「からだに気づく機会」を増やす
LEVEL 2
「力加減のなさ」は固有覚のサイン
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたいサインと機能
固有覚は 姿勢保持 力加減 ボディイメージ
覚醒調整 の土台。鈍麻・過敏どちらでも困りごとが現れる。
こんな様子に出会ったら:
- 筆圧が強すぎる/弱すぎる、物をすぐ壊す・落とす
- 姿勢がぐにゃっとする、寄りかかってくる
- ぶつかりやすい、人との距離が近すぎる
- 噛む・押しつける・狭い所に潜るなどの感覚探索
- 動いている方が落ち着く、座って待てない
療育アプローチ② ヘビーワークと体操コース
Heavy Work=筋・関節に明確な負荷をかける活動が中心。
- 運ぶ・押す:重いボール、マット運び、雑巾がけ
- マット:くま歩き・あざらしで全身に体重をかける
- ボールプール:埋もれる=深部圧迫で覚醒を整える
- バランスボード:足裏・足首から多くの固有覚入力
- ラダー・ジャンプ:着地の衝撃が大きな入力源
- パニックの前兆に「ぎゅっと圧」を提示できる関係性を作る
LEVEL 3
感覚統合理論における近感覚としての位置づけ
専門職・OT/PT連携/次へつなぐ
受容器と神経基盤
筋紡錘筋の長さ・伸長速度を検出
ゴルジ腱器官筋の張力を検出
関節受容器関節角度・圧を検出
求心性入力は 後索-内側毛帯路 を上行し、小脳・体性感覚野・頭頂連合野で統合される。
前庭覚・触覚と並ぶ 近感覚(near senses) として、
A.J. Ayres の感覚統合理論で姿勢・運動企画・自己調整の基盤と位置づけられる。
臨床的には 感覚モジュレーション障害(鈍麻/過敏/探求)と
感覚識別障害(dyspraxia, ボディスキーマ未熟)に分けて評価する。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- Sensory Profile / JSI-R 等で プロファイル把握
- Heavy Work / Deep Pressure を Sensory Diet として日課化
- 運動企画(praxis)困難児には 分解→組立ての活動分析
- TEACCH構造化と相性◎:「ここで・これだけ押す」の視覚化で予測可能な入力に
- Low Arousal設計:深部圧迫・床座位・包み込む空間は固有覚由来の鎮静作用
- OT/PT連携指標:両側統合・正中線交差・体幹安定性・抗重力姿勢