一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で、各レベルに 療育的アプローチ を併記。
NOTE 01「基底面」 とセットで読むと、姿勢の安定がまるごと見えてきます。
LEVEL 1
重心は「からだの重さが集まる中心の点」
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
重心とは、からだ全体の重さが集まる「中心の点」で、立つとおへその少し下あたりにあります。
バランスは、この 重心が「足で支える床」の上に乗っているとき に保たれ、外にはみ出すと倒れます。
おぼえることは2つだけ。
① 重心が 低いほど安定する(すもう・四つん這い)
② 重心が 高いほどグラグラする(つま先立ち・背伸び)
寝る▸
お座り▸
四つん這い▸
ひざ立ち▸
立つ▸
つま先立ち
← 左ほど重心が低く安定、右ほど高く不安定。
療育アプローチ① 低い重心で安心して動く
まずは 重心が低い=倒れにくい姿勢 で、たっぷり動く心地よさを。倒れない成功体験から少しずつ高い姿勢へ。
- ハイハイ・四つん這い・くま歩きでの移動遊びを多く
- 「だるまさんがころんだ」やしゃがむ遊びで重心の上下を体感
- 抱っこ・おんぶで、大人の重心移動にゆられる経験
LEVEL 2
バランスは「止めて保つ」と「動いて保つ」
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
2種類のバランスと、自動で働く反応
静的バランス=止まって保つ/動的バランス=動きの中で保つ。
どちらも正体は 重心の移動 の連続で、倒れないために 3つの自動反応 が育ちます。
立ち直り反応頭とからだをまっすぐ起こす
平衡反応重心が動くと手足・体幹で代償
保護伸展反応倒れる瞬間、とっさに手が出る
気づきたい子どものサイン:
- よく転ぶ・つまずく、片足立ちが続かない
- すぐ座りたがる・床に寝そべる・人や机にもたれる
- ジャンプの着地や方向転換がぎこちない
療育アプローチ② 体操コース=バランスの実験室
- バランスボード:重心移動そのものを意図的に練習
- フープ:重心を保ったまま「またぐ・出入りする」
- ラダー:両足→片足で重心を連続的に乗せかえる
- マット:前転・くま歩きで重心を低く保つ/回す
- ボールプール/スカーフ:不安定面と広げた上肢で平衡反応を引き出す
LEVEL 3
質量中心(COM)の制御と姿勢制御システム
専門職・OT/PT連携/次へつなぐ
重心制御の理論的背景
重心は力学的に COM(質量中心)=COG。立位では足裏の
COP(足圧中心) と対をなし、COGが 基底面(BOS)内に投影され続ける 限り安定する
(→ NOTE 01「基底面」と一体の関係)。
姿勢制御は2系統。APA(予測的姿勢調整)=動作前に重心を先回りして整える/反応的制御=外乱後に立ち直る。
いずれも 前庭覚・固有受容覚・視覚 を小脳・脳幹で統合し重みづけ(sensory reweighting)する。
低緊張や DCD(発達性協調運動症) では制御の未熟さが転倒・姿勢崩れとして表れる。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- 閉眼立位(Romberg)・片足立ち保持で視覚依存度をみる
- 段階的負荷:静的→動的→不安定面→外乱/BOT-2 等で客観化
- TEACCH構造化:「ここに立つ・座る」を視覚明示し予測可能に
- Low Arousal:過覚醒でも低覚醒でも重心制御は乱れる=覚醒の最適化
- OT/PT連携指標:体幹安定性・前庭機能・両側協調・正中線交差