一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
触覚は「肌で世界とふれあう」感覚
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
触覚とは、皮ふでふれて「あたたかい・つめたい・ふわふわ・チクチク」を感じる感覚。
からだ全体をつつむ、いちばん大きな感覚です。
触覚にはふたつの役割があります。
① 危険を知らせる(熱い・痛いからすぐ手を引く)
② くわしく確かめる(ポケットの中で鍵を手さぐりで見分ける)
ぎゅっと抱っこで安心するのも、ふわふわ毛布が心地よいのも、ぜんぶ触覚のおかげ。
療育アプローチ① ふれあいの土台をつくる
まずは 「ふれられて心地よい」体験 をたっぷりと。
- 砂・水・粘土・泡など、いろんな手ざわり遊び
- 子どもが「自分から」ふれられるように見せてから渡す
- 苦手な感触は無理強いせず、好きな感触から少しずつ
- ぎゅっと圧をかける抱っこで安心を伝える
LEVEL 2
「さわられるのが苦手」は触覚のサイン
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたいサインと機能
触覚は 情緒の安定 手の操作 対人距離
覚醒調整 の土台。過敏でも鈍麻でも困りごとが現れる。
こんな様子に出会ったら:
- のり・砂・絵の具をいやがる、手をふきたがる=過敏のサイン
- うしろから急にふれられると過剰に驚く・怒る
- 服のタグ・帽子・靴下をいやがる、偏食が強い
- けが・温度差に気づきにくい、口に物を入れる=鈍麻のサイン
- 人やものにベタベタふれる=刺激を探している
療育アプローチ② 深部圧と体操コース
深部圧は触覚を整える鍵。軽いふれより安心を生む。
- ボールプール:全身が包まれる深部圧で過敏をやわらげる
- マット:くるくる巻き・サンドイッチでしっかり圧を提示
- スカーフ:ふわり落ちる布で「心地よい弱刺激」に出会う
- フープ:自分の陣地を視覚化し急なふれあいを防ぐ
- ふれる前に「さわるよ」と予告し、後ろからふれない
- ぴょんぴの床長尺シート色ゾーニングで対人距離を見える化
LEVEL 3
原始系・識別系の二系統と触覚防衛
専門職・OT/PT/ST連携/次へつなぐ
受容器と二系統モデル
原始系触・圧・痛・温で防御を担う
識別系二点識別・質感の精密判別
深部圧鎮静・覚醒調整に寄与
求心性入力は 脊髄視床路(原始系)と 後索-内側毛帯路(識別系)の二系統で上行し、
体性感覚野で統合される。触覚防衛は原始系優位で防御反応が過剰化した状態とされ、
A.J. Ayres の感覚統合理論で 感覚モジュレーション障害 に位置づけられる。
臨床では 過敏/鈍麻 と 二点識別 等の
識別機能を分けて評価し、深部圧(deep pressure) の鎮静効果を介入仮説に据える。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- Sensory Profile / JSI-R 等で 触覚プロファイル把握
- Deep Pressure を Sensory Diet として日課化(軽刺激より鎮静的)
- Wilbargerプロトコル等は OT管理下で適否を判断し家庭と共有
- TEACCH構造化:「いつ・どこで・誰がふれるか」を視覚化し予測可能に
- Low Arousal設計:包み込む空間・素材選定で防御反応の閾値を下げる
- OT/PT/ST連携指標:手の操作性・正中線交差・口腔過敏と摂食・構音