STAFF NOTE 11 / PART I からだの土台 / 3段階解説

視覚ってなあに?— しかく/Visual Sense —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 視覚は「見て、わかって、動く」までの感覚 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

視覚とは 「目で見て、それが何かわかって、からだを動かす」までのはたらき。 ただ「見える」だけではなく、見たものを脳が読み取り、行動につなげる力までを含みます。

目はこんな仕事をしています。
追いかける(動くものを目で追う)
見つける・選ぶ(たくさんの中から探す)
見て手を動かす(見たとおりに描く・つかむ)

じっと見る 目で追う 見つける 手を伸ばす 見て描く

療育アプローチ① 「見る楽しさ」の土台をつくる

視覚は 使うほど見やすく整っていく 感覚。

  • シャボン玉・転がるボールを一緒に目で追う遊び
  • 絵さがし・まちがいさがしで「見つけた!」を喜ぶ
  • 見えにくそうなら、まず物を 減らして・近づけてあげる
  • 「上手に見て」より「ここ見てごらん」と指さしを添える
LEVEL 2 「見えている」と「見て使える」は別もの スタッフ・支援者向け/現場で活かす

気づきたいサインと視点

視力に問題がなくても、目で追う見て選ぶ見て動かす 段階でつまずくことがある。視覚は情報量が多いぶん、 整理が追いつかないと疲れやすい。

こんな様子に出会ったら:

  • 文字や行を読み飛ばす/音読で同じ行に戻る=目で追うのサイン
  • 探し物に時間がかかる、見落とす=たくさんから選ぶのサイン
  • 形・線がゆがむ、マスからはみ出す=見て手を動かすのサイン
  • 掲示が多い壁を嫌がる、まぶしさを訴える=刺激の多さのサイン
  • 近くを見続けると目をこする・疲れる=ピント合わせのサイン

療育アプローチ② 体操コースと施設の見える化

  • フープ:転がす・くぐるで 追視と距離感を育てる
  • ラダー:マスを目で確認して足を置く=見て動かす
  • ボールプール:色ボール探しで 図地弁別を遊びに
  • スカーフ:ふわり落ちる布を目で最後まで追う
  • ぴょんぴの 床長尺シート色ゾーニングで「どこに立つ」を一目で
  • 掲示を減らし背景を整える=Low Arousalな視環境設計
LEVEL 3 視知覚・眼球運動・視覚運動協応の神経基盤 専門職・OT/PT/ST連携/次へつなぐ

視機能の階層と評価

眼球運動追視・跳躍性(サッケード)・調節輻輳
視知覚図地弁別・形態恒常性・視空間認知
視覚運動協応見た情報を運動出力へ変換

視覚は網膜から 背側経路(where/how)腹側経路(what) に分かれて処理され、 頭頂連合野で 前庭覚固有受容感覚と統合され姿勢制御・運動企画を支える (Sensory Integration: A.J. Ayres)。視力(acuity)が正常でも 視知覚眼球運動の課題は学習・運動に影響する。

評価では DTVP(フロスティッグ視知覚検査) で視知覚を、 調節輻輳機能や近見作業の持続性も併せて捉え、視覚情報処理の質を多面的に把握する。

療育アプローチ③ 評価と連携の視点

  • DTVP / Sensory Profile 等で 視知覚プロファイルを把握
  • 追視・跳躍性眼球運動の 分解課題を遊びに織り込む
  • TEACCH構造化と相性◎:物理的構造化・スケジュールの 視覚的明示で処理負荷を軽減
  • Low Arousal設計:背景の単純化・掲示の精選は 図地弁別の負担軽減そのもの
  • OT/PT/ST連携指標:視覚運動協応・正中線交差・読字における追従眼球運動