一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
視覚は「見て、わかって、動く」までの感覚
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
視覚とは 「目で見て、それが何かわかって、からだを動かす」までのはたらき。
ただ「見える」だけではなく、見たものを脳が読み取り、行動につなげる力までを含みます。
目はこんな仕事をしています。
① 追いかける(動くものを目で追う)
② 見つける・選ぶ(たくさんの中から探す)
③ 見て手を動かす(見たとおりに描く・つかむ)
じっと見る▸
目で追う▸
見つける▸
手を伸ばす▸
見て描く
療育アプローチ① 「見る楽しさ」の土台をつくる
視覚は 使うほど見やすく整っていく 感覚。
- シャボン玉・転がるボールを一緒に目で追う遊び
- 絵さがし・まちがいさがしで「見つけた!」を喜ぶ
- 見えにくそうなら、まず物を 減らして・近づけてあげる
- 「上手に見て」より「ここ見てごらん」と指さしを添える
LEVEL 2
「見えている」と「見て使える」は別もの
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたいサインと視点
視力に問題がなくても、目で追う・見て選ぶ・
見て動かす 段階でつまずくことがある。視覚は情報量が多いぶん、
整理が追いつかないと疲れやすい。
こんな様子に出会ったら:
- 文字や行を読み飛ばす/音読で同じ行に戻る=目で追うのサイン
- 探し物に時間がかかる、見落とす=たくさんから選ぶのサイン
- 形・線がゆがむ、マスからはみ出す=見て手を動かすのサイン
- 掲示が多い壁を嫌がる、まぶしさを訴える=刺激の多さのサイン
- 近くを見続けると目をこする・疲れる=ピント合わせのサイン
療育アプローチ② 体操コースと施設の見える化
- フープ:転がす・くぐるで 追視と距離感を育てる
- ラダー:マスを目で確認して足を置く=見て動かす
- ボールプール:色ボール探しで 図地弁別を遊びに
- スカーフ:ふわり落ちる布を目で最後まで追う
- ぴょんぴの 床長尺シート色ゾーニングで「どこに立つ」を一目で
- 掲示を減らし背景を整える=Low Arousalな視環境設計
LEVEL 3
視知覚・眼球運動・視覚運動協応の神経基盤
専門職・OT/PT/ST連携/次へつなぐ
視機能の階層と評価
眼球運動追視・跳躍性(サッケード)・調節輻輳
視知覚図地弁別・形態恒常性・視空間認知
視覚運動協応見た情報を運動出力へ変換
視覚は網膜から 背側経路(where/how) と 腹側経路(what) に分かれて処理され、
頭頂連合野で 前庭覚・固有受容感覚と統合され姿勢制御・運動企画を支える
(Sensory Integration: A.J. Ayres)。視力(acuity)が正常でも 視知覚・
眼球運動の課題は学習・運動に影響する。
評価では DTVP(フロスティッグ視知覚検査) で視知覚を、
調節輻輳機能や近見作業の持続性も併せて捉え、視覚情報処理の質を多面的に把握する。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- DTVP / Sensory Profile 等で 視知覚プロファイルを把握
- 追視・跳躍性眼球運動の 分解課題を遊びに織り込む
- TEACCH構造化と相性◎:物理的構造化・スケジュールの 視覚的明示で処理負荷を軽減
- Low Arousal設計:背景の単純化・掲示の精選は 図地弁別の負担軽減そのもの
- OT/PT/ST連携指標:視覚運動協応・正中線交差・読字における追従眼球運動