一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
味覚・嗅覚は「食べていいか」を見分ける感覚
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
味覚・嗅覚は 「口と鼻でものを感じ取る感覚」。
舌で「あまい・しょっぱい・すっぱい・にがい・うまみ」を、鼻でにおいを感じ、ふたつは
いつもいっしょに働いて「おいしさ」をつくる 仲よしコンビ。
鼻をつまむと味がわからなくなるのも、この働きです。
大切な役目はふたつ。① あぶないものを「くさい・にがい」で教え、
② すきなにおいで気持ちをほっと落ち着かせます。
ミルク▸
なめる▸
やわらかい物▸
いろんな味▸
食べられる物が増える
療育アプローチ① 「安心して出会う」体験を
新しい味は こわくない出会い方 から少しずつ。
- 無理に食べさせず「見る・におう・さわる」から始める
- 苦手な物は別皿に。皿に乗るだけで「合格」にする
- 「すっぱいね」「いいにおい」と気持ちを言葉で添える
- 食卓の強いにおい・大きな音を減らして穏やかに
LEVEL 2
「偏食」は味覚・嗅覚のサインかもしれない
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたいサインと読み解き
味覚・嗅覚は 過敏 でも 鈍麻 でも、また
感覚探求 でも、食べ方や行動に表れます。「わがまま」ではなく感覚の個性。
こんな様子に出会ったら:
- 白い物・同じ物しか食べない、給食室や芳香剤で不機嫌=味やにおいの過敏
- においをかいでから口に入れる=慎重に確かめている
- 濃い味・刺激物を好む/なんでも舐める=鈍麻・感覚探求や口腔感覚を求めるサイン
- 特定の食感で吐き出す=味より口の中の触感が苦手なことも
療育アプローチ② 施設環境と食事支援
「食べられた量」より 「安心して食卓につけた」 を目標に。
- ぴょんぴの色ゾーニング:食事スペースを床シート色で明示し予測可能に
- Low Arousal設計:強い芳香・調理臭・BGMを抑え刺激を最小化
- ボールプール・マット等で食前に固有覚を入れ覚醒を整える
- 同じ席・同じ食器でTEACCH的に「いつもと同じ」安心を用意
- 苦手食材は段階表で「見る→近づける→触れる→舐める」と可視化
LEVEL 3
化学感覚・辺縁系・摂食嚥下との接続
専門職・OT/ST連携/次へつなぐ
受容と神経基盤
味蕾5基本味を検出(顔面・舌咽神経)
嗅上皮揮発性分子を検出(嗅神経)
三叉神経辛味・冷涼・口腔の体性感覚
味覚・嗅覚は 化学感覚 と総称され、嗅球 から
辺縁系(扁桃体・海馬)へ直接投射し情動・記憶・覚醒調整 と結びつく。
風味は味・嗅・口腔感覚の統合知覚で 摂食嚥下 の先行期を支え、臨床では
感覚モジュレーション障害(過敏/鈍麻/探求)と 食行動の選択性(ARFID 圏)を区別して評価する。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- Sensory Profile 等で口・嗅覚領域のプロファイルを把握
- SOS Approach to Feeding の 段階的脱感作を Sensory Diet に組み込む
- 口腔感覚は固有覚・触覚と連動:Heavy Work や深部圧で覚醒を整えてから食事へ
- TEACCH構造化+Low Arousal:献立・手順を視覚化し、辺縁系直結の環境臭を調整
- ST/OT・管理栄養士連携指標:嚥下機能・口腔過敏・栄養充足・体重推移