STAFF NOTE 17 / PART I からだの土台 / 3段階解説

運動企画ってなあに?— うんどうきかく/Motor Planning / Praxis —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。 NOTE 01「基底面」 で姿勢の土台を整えたら、その上で「からだをどう動かすか」を組み立てる力がこのテーマです。
LEVEL 1 運動企画は「からだの動きの作戦を立てる力」 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

運動企画とは、はじめての動きを「思いついて・段取りして・やってみる」力。 ジャングルジムを見て「ここに手、つぎは足」と作戦を立て、実際にのぼっていくときに使う、からだの司令塔です。

① 思いつく ② 段取りする ③ やってみる できた!

← はじめてのなわとびがうまくいかないのは、やる気や不器用さではなく、作戦づくりが育つ途中だから。

療育アプローチ① 作戦づくりの土台をつくる

まずは 「思いついて・やってみたら・できた」の小さな成功 を家庭でもたっぷりと。

  • マネっこ遊び(手遊び・ダンス)で「見て→やる」を楽しむ
  • 新しい動きは 大人がゆっくり実演 し、一緒に手順をなぞる
  • できた瞬間を一緒に喜び、「やってみたい」気持ちを育てる
LEVEL 2 運動企画は「発想・計画・実行」の3工程 スタッフ・支援者向け/現場で活かす

3工程と、つまずきの読み解き

発想(ideation)なにをするか思いつく。
計画(planning)手順・順番を組み立てる。
実行(execution)計画どおりにからだを動かす。 どの工程でつまずくかで、必要な支援が変わります。

発想で遊具の前で立ち止まる
計画で順番が前後・途中で固まる
実行でぎこちない・力加減が合わない

「不器用」と決めつける前に気づきたいサイン:

  • はじめての動きをいやがる=発想・計画が大変なサイン
  • 口で言えてもからだが動かない=計画と実行のズレ
  • 同じ遊びをくり返す=成功できる動きを守るサイン

療育アプローチ② 体操コース=企画の実験室

  • フープ・ラダー:並べ方や足の置き場を毎回変え「発想〜計画」を引き出す
  • マット:くま・あざらし等の 新規動作 を実演→模倣
  • バランスボード:予測しづらい動きで実行を調整
  • スカーフ:投げ上げ→キャッチで発想〜実行を一連で
  • ぴょんぴの床長尺シート色ゾーニング:「赤→青→黄の順」と色で手順を視覚化し、計画を支える
LEVEL 3 Praxisの神経過程と身体図式・感覚統合 専門職・OT/PT/ST連携/次へつなぐ

運動企画(praxis)の理論的背景

Praxis(運動企画)ideation(発想)motor planning(計画)execution(実行) の連続過程(A.J. Ayres, 感覚統合理論)。その困難像が Dyspraxia(発達性運動企画障害) である。

計画の前提となる身体の地図 body scheme(身体図式)固有受容感覚前庭感覚触覚 の統合で更新される。ゆえに 新規動作の習得・模倣 の質が praxis を映す指標となる。

DCD(発達性協調運動症) と重なり、行動連鎖化(ABA)・感覚統合療法・Floortime など 複数アプローチの統合 が有効とされる。

療育アプローチ③ 評価と連携の視点

  • SIPTSensory Profile 等で praxis と感覚処理を客観化
  • 言語指示(言語化計画)と模倣(視覚計画)の どちらで動けるか を見分ける
  • TEACCH構造化:手順を写真カード・番号で 計画工程を外在化 し実行を支える
  • Low Arousal設計:過覚醒下では発想・計画が働きにくい=覚醒の最適化が前提
  • OT/PT/ST連携指標:身体図式・両側協調・運動順序・口腔運動企画(oral praxis