一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
話したいのに、ある場所だと声が出ないこと
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
場面緘黙とは、家ではふつうに話せるのに、園や学校では声が出なくなること。
わざと黙っているのでも、話し方を知らないのでもありません。緊張でのどがキュッと固まってしまうのです。
おうちでは元気におしゃべりする子が、玄関を出たとたん静かになる──同じ子の中で「話せる場所」と「話せない場所」が分かれているのが特徴です。
家で話せる▸
家族と外で▸
少人数なら▸
園・学校で
療育アプローチ① 安心の土台をつくる
まずは 「話さなくても大丈夫」という安心 を家庭から。
- 「なんで言わないの?」と問い詰めず、うなずきや指さしを受けとめる
- 話せたときだけほめず、そこに居られたことを喜ぶ
- 家で楽しく話す姿を、無理のない範囲で外にも少しずつ広げる
LEVEL 2
「話せない」は不安のサイン。段階で読み解く
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたい子どものサイン
沈黙を「やる気がない」と捉えず、安心できれば伝えたい子として観察します。
- 家庭・特定の友達とは話せる=力はあるのに場面で出ない
- 声だけでなく、表情・身振り・動きまで固まることがある
- うなずき・首ふり・指さしでは応じられる場合がある
- 名前を呼ばれる・注目される場面で特に緊張が高まる
- 「話せた?」の確認自体がプレッシャーになりやすい
療育アプローチ② 施設での関わりと環境
- Low Arousal設計:注目を集めず、横並び・小集団から関わる
- 発声を求めず、絵カード・指さし・サインで「伝わる成功」を積む
- ぴょんぴの床の色ゾーニングで「いる場所・順番」を視覚化し予測可能に
- マットやボールプールなど非言語で楽しめる体操から関係を育てる
- 答えをはい/いいえの選択肢にして発話の負担を下げる
- できた関わりを個別支援計画に小さな段階で記録する
LEVEL 3
不安症としての理解と段階的支援
専門職・心理/ST連携/次へつなぐ
診断的位置づけと支援理論
場面緘黙(Selective Mutism)は、
DSM-5において不安症群に分類される。
「話せる場面と話せない場面」が安定して分かれる点が中核で、言語能力そのものの問題ではない。
支援の基盤は安心の確保であり、緊張の低い状況から少しずつ慣らす
段階的エクスポージャーを用いる。発声へ直接迫らず、
人・場所・活動の条件を細かく刻むスモールステップと、
話せる相手や場面を起点に対象を広げる刺激フェイディングが有効とされる。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- 発話の有無でなく不安水準と参加度を多場面で評価する
- 非言語応答→単語→定型句と、反応の階層で目標を設定
- ST連携:構音・言語発達に遅れが併存しないか切り分ける
- 心理連携:背景の不安特性・家庭での発話像を共有する
- 園・学校との条件の共有で支援を一貫させる
- Low Arousal × 構造化は、不安軽減の環境調整として同根