一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
ことば以外で伝わる「気持ちのサイン」のこと
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
非言語コミュニケーションとは、ことばを使わずに気持ちを伝え合うやりとり のこと。
にこっとした顔、目が合うこと、指さし、うなずき――こうしたサインは、ことばと同じくらい多くを語ります。
ぎゅっと抱きしめると安心が伝わるように、「ことばより先に伝わる」 ことはたくさんあります。
表情
目線
指さし
うなずき
声のトーン
療育アプローチ① 表情とジェスチャーを添える
ことばに 表情・身ぶり を重ねて、伝わる手がかりを増やします。
- 「おいしいね」と言うとき、笑顔も一緒に大きく見せる
- 「ちょうだい」「バイバイ」を 身ぶり で一緒に
- 子どもの指さしや表情に「〇〇だね」と言葉を返す
LEVEL 2
非言語には「読み取り」と「表出」の両面がある
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
5つのチャンネルと観察視点
表情・視線
目を合わせる・そらす、笑顔・困り顔。気持ちが最初に出る窓口。
身ぶり・姿勢
指さし・うなずき、からだの向き。関心の方向が読める。
距離・身体接触
近づく・離れる、触れる。安心と緊張のバロメーター。
声色(パラ言語)
声の高さ・速さ・間。同じ言葉でも意味が変わる。
読み替えの視点:「目を合わせない=関心がない」ではなく
「今は刺激が多くて見るのが苦しいサイン」 と捉え直す。
療育アプローチ② 施設での実装
- 絵カード・写真で「気持ち」を見える化し表出を支える
- 視線を強要せず、横並びで同じ物を見る関わりから始める
- ぴょんぴの床色ゾーニングで「近づく/待つ距離」を見える化
- 体操のスカーフ・フープで身ぶりの模倣・順番を楽しむ
- 声色を整えるLow Arousal設計と、読み取れたサインの個別支援計画への記録
LEVEL 3
語用論・社会的認知・多職種連携との接続
専門職・ST/OT/心理連携/次へつなぐ
理論的背景と他アプローチとの関係
対面コミュニケーションに占める非言語の比重は大きいとされ、Mehrabian (1971) は
態度・感情の伝達で言語以外の要素が支配的になりうると論じた。非言語は
Kinesics(身体動作)・Proxemics(対人距離)・
Paralanguage(声色・韻律)に大別される。
発達的には 共同注意(Joint Attention) と 前言語期コミュニケーション
が言語獲得の土台となり、心の理論(Theory of Mind) の発達と相互に支え合う。
支援は 受容(読み取り) と 表出 の両面で設計する。
評価には CSBS DP・M-CHAT 等を参照し、ABAの
マンド訓練 や AAC とも補完関係に置く。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 視線・指さし・表情の 表出頻度と機能 を行動記録で評価
- 共同注意の 段階的形成:交互注視→指さし追従→社会的参照
- TEACCH構造化で「いつ・誰と関わるか」を視覚的に明示し負荷を下げる
- 連携指標:前言語期サインの乏しさ・韻律理解の偏り(ST)、感覚過敏による視線回避・対人距離の調整困難(OT/心理)
- Low Arousal設計:刺激最小化が 非言語の読み取り精度 を支える裏付け