一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
基本的信頼感って「この世界は大丈夫」という安心感
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
基本的信頼感とは、「困ったときは誰かが助けてくれる」「この世界は安心できる」という心の土台 のこと。
赤ちゃんが泣いたら抱っこしてもらえる、お腹がすいたらごはんがもらえる——
その くり返し の中で、少しずつ育っていきます。
ぎゅっと抱きしめてもらうと安心するのも、この信頼感の働き。
泣いて呼ぶ→応えてもらえる、の積み重ねがすべての始まりです。
泣いて呼ぶ▸
応えてもらえる▸
安心する▸
「大丈夫」が育つ
療育アプローチ① 安心の土台をつくる
まずは 「呼べば応えてもらえる」体験 をたっぷりと。
- 泣き・甘え・抱っこの求めには できるだけ早く応える
- 「おはよう」「待ってたよ」と笑顔で迎える毎日のくり返し
- うまくいかない日も「あなたは大丈夫」と関わり続ける
LEVEL 2
信頼感は「応答のくり返し」で積み上がる
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたい子どものサイン
信頼感はまだ言葉になりません。子どもの行動を「不信のサイン」ではなく「安心を確かめたいサイン」 として読み解きます。
- 特定の大人を くり返し求める =安全基地を探している
- 分離のときに泣く =つながりが育っている証
- 関わりを試す行動 =「本当に受け止めてくれる?」の確認
- 新しい遊びに踏み出せない =安心の土台がもう少しほしいサイン
- 表情が乏しい・反応が薄い =応答のリズムを丁寧に合わせたい場面
療育アプローチ② 施設での関わりと環境
- 担当の安定:いつも同じ大人が迎える「安全基地」を用意
- 予測できる流れ:見通しのある一日が安心を支える
- 体操6コース:ボールプールやマットで「受け止められる」情緒の安定体験
- 成功体験の設計:できた瞬間を一緒に喜び「大丈夫」を積む
- Low Arousal設計:刺激を抑えた空間で穏やかに過ごせる土台を整える
LEVEL 3
心理社会的発達の最初の課題としての信頼
専門職・心理職連携/次へつなぐ
理論的背景と発達的連続性
Erik H. Erikson の 心理社会的発達理論(1950)において、
乳児期(0〜1歳半)の発達課題は 基本的信頼 対 不信(Basic Trust vs. Mistrust)。
この時期に得られる徳が 希望(Hope) である。
土台を支えるのは 応答的養育(responsive caregiving)であり、
Bowlby・Ainsworth の 愛着理論 とも接続する。
一貫した応答が 安定型愛着 と 情動調律(Stern)を育てる。
この安心感は 自律性・自己肯定感 へと連続し、後の 自己効力感 の基盤となる。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 養育者との関係性を 共同調整(co-regulation) の視点で評価する
- 個別支援計画に「安全基地となる人・場・流れ」を明示的に位置づける
- 心理職連携:愛着・分離不安・トラウマインフォームドケアの視点を共有
- ST・OT連携:応答的やりとり(serve and return)を遊びの中で促す
- 家族支援:保護者自身が安心できる関わりを支え、家庭へ橋渡しする