一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
自己効力感は「きっとできる」と思える気持ち
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
自己効力感とは、「やってみたら、きっとできそう」と自分を信じられる気持ちのこと。
うまくいった経験が積み重なると、この気持ちは少しずつ育っていきます。
はじめて自転車に乗れた日、「もう一回やりたい!」と目を輝かせる――
あの 「できた!」のうれしさ が、次への力になります。
やってみる▸
できた!▸
うれしい▸
もう一回▸
きっとできる
療育アプローチ① 「できた!」の土台をつくる
家庭では 「ちょっと頑張ればできること」 を一緒に選ぶのがコツ。
- むずかしすぎず、簡単すぎない課題を一緒に見つける
- できた瞬間に「できたね!」とすぐ言葉にして喜ぶ
- 結果より「自分でやろうとした過程」を認める
LEVEL 2
「できた」を支える4つの源(みなもと)
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
自己効力感が育つ4つのきっかけ
① 成功体験
自分で「できた」を味わう。最も土台になる、いちばん強い源。
② 見て学ぶ
似た仲間ができる姿を見て「自分もできそう」と感じる。
③ 言葉の後押し
「できるよ」と信頼ある人に伝えられ、安心して挑める。
④ 心と体の状態
穏やかで安定していると「やれそう」と前向きになれる。
読み替えの視点:「すぐ諦める」のは怠けではなく
「失敗が怖い=成功体験が足りないサイン」として受け止める。
療育アプローチ② 成功を設計する
- スモールステップ:課題を「必ず届く一歩」に分ける
- 体操6コース:フープ・ラダーで「できた」を毎回つくる
- 結果でなく 挑戦そのもの をその場で具体的に認める
- 仲間の成功を見える場面を意図的につくる(代理体験)
- Low Arousal設計で 心身を整え「やれそう」を支える
- 個別支援計画に「成功の見込める目標」を一つ必ず置く
LEVEL 3
Banduraの理論と動機づけ・心理職連携
専門職・心理職連携/次へつなぐ
理論的背景と関連概念の整理
Self-Efficacyは Albert Bandura(1977)が
社会的認知理論の中で提唱。「ある課題を遂行できるという見込み」を指し、
四つの源――遂行行動の達成(成功体験)・代理体験・
言語的説得・情動的喚起から形成される。
自己肯定感との違い:自己肯定感が「存在の価値づけ」であるのに対し、
自己効力感は 課題遂行への見通し(有能感)。前者を土台に、後者は
内発的動機づけを駆動し、行動の選択・努力・持続性を左右する。
支援設計では行動論(ABA)の 強化スケジュール や感覚統合による情緒安定とも接続する。
療育アプローチ③ 評価と連携の視点
- 四つの源のうち どこが不足しているか を見立て、介入点を選ぶ
- 過度な失敗の回避=学習性無力感の予兆として早期に捉える
- 心理職連携:動機づけ低下と 抑うつ・不安 の鑑別を相談
- OT/ST連携:達成可能な課題難度(just-right challenge)の調整を共有
- 家族支援:家庭での「できた」を可視化し、代理体験の場を広げる
- 記録の視点:成果でなく 挑戦頻度・自己選択の増加 を指標化する