STAFF NOTE 42 / PART IV 認知と学習 / 3段階解説

注意機能ってなあに?— ちゅういきのう/Attention —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 注意は「心のスポットライト」 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

注意とは、たくさんの情報の中から「いま見るところ」を選ぶ心のスポットライト。 まわりは音も光もいっぱい。その中から大事なものだけを照らす力です。

スポットライトには 4つの使い方 があります。
① ひとつに 向ける ② 続ける ③ 切りかえる ④ 同時に2つ見る

向ける 続ける 切りかえる 2つ同時

療育アプローチ① 集中の土台をつくる

「集中しなさい」より、照らしやすい環境を先に整える。

  • 机の上は使う物だけに。余計な刺激を片づける
  • 「これが終わったら次」と ひとつずつ 見せる
  • 短い時間で区切り「できた!」をこまめに
LEVEL 2 注意には「4つのタイプ」がある スタッフ・支援者向け/現場で活かす

4タイプと観察視点

選択性=必要な刺激を選ぶ/持続性=続ける/ 転換性=切りかえる/分配性=同時にこなす。

「困った」を「○○のサイン」と読み替える:

  • 気が散りやすい=選択性が育ち途中のサイン
  • すぐ飽きる=持続性の容量に合っていないサイン
  • 切りかえが苦手=転換性に見通しが要るサイン
  • 聞きながら書けない=分配性に負荷が高いサイン

療育アプローチ② 施設での実装

  • 物理的構造化:壁向き席・仕切りで照らす対象をしぼる
  • 視覚スケジュール:切りかえ前に「次」を予告し転換を支える
  • ラダー・フープ:色や順番を見て動く認知運動課題
  • スモールステップ:持続できる長さに課題を分割
  • 聞く/書くは 分けて 提示し分配の負荷を下げる
LEVEL 3 注意ネットワーク・覚醒・実行機能との接続 専門職・OT/ST連携/次へつなぐ

理論的背景と神経基盤

注意は 選択性持続性分配性転換性 に分類され、 Posner注意ネットワークモデルでは AlertingOrientingExecutive Control の三系統で整理される。

土台には 覚醒(arousal) があり、過覚醒・低覚醒のどちらでも 刺激の取捨選択が乱れる。ADHD は注意の 制御実行機能の調整課題として理解され、 評価には CPTConners 等が用いられる。

療育アプローチ③ アセスメントと連携

  • 環境刺激の 段階的調整 で選択性の負荷をコントロール
  • 課題前に 覚醒を整える(前庭・固有受容の入力で最適化)
  • Low Arousal設計:低刺激空間は注意資源の節約と同根
  • OT/ST相談指標:覚醒変動・聴覚処理・ワーキングメモリ負荷
  • 感覚統合・実行機能支援と 補完的 に個別支援計画へ統合