一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
「見て、わかる」力のこと
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
視知覚・空間認知とは、目に入ったものを「なにが・どこに・どんな形で」あるかとして読み取る力。
目がよく見えること(視力)とは別で、見えたものを 頭の中で意味づける はたらきです。
たとえば たくさんの中からお目当てを見つける/積み木のお手本どおりに積む/「ぬ」と「め」を見分ける。
形をまねしてかくのが苦手なのは、不器用なだけでなく 見え方の整理 が育つ途中なのかもしれません。
療育アプローチ① 見る力の土台をつくる
家庭でも 遊びの中で「見比べる・見つける」体験 を楽しく。
- 絵さがし・まちがいさがし・かくれんぼで「見つける」を遊ぶ
- 積み木やパズルを お手本を見ながら 作る
- 「上・下・となり・うしろ」を体を動かして言葉と結ぶ
- できた形をほめ、せかさず最後まで見守る
LEVEL 2
「見る力」はいくつかの部品でできている
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
4つの見る力と読み解き
背景から拾う
ごちゃごちゃの中から必要な形だけを取り出す力。
形を覚える
大きさや向きが変わっても「同じ形」とわかる力。
位置を読む
上下・左右・前後の位置関係を正しくとらえる力。
見て動かす
見た形をなぞる・写す・組む、手と目を結ぶ力。
困りごとを「サイン」と読み替える:
板書を写すのが遅い=位置を読むサイン/字が枠から飛び出す=見て動かすサイン。
療育アプローチ② 環境と体操で整える
- 余白を増やす:プリント・教材の情報量を減らし背景から拾いやすく
- 枠と色で示す:書く場所・置く場所を線と色ゾーニングで明確化
- ラダー・フープ:「右・左・中」を体で経験し位置の言葉と結ぶ
- マット模倣:お手本の動きを見て写す課題で見て動かす力を育てる
- 見本は 子どもの隣・同じ向き に置き、見比べの負担を下げる
LEVEL 3
視知覚の構成要素・評価・読み書きとの接続
専門職・OT/ST連携/次へつなぐ
理論的背景と評価尺度
Marianne Frostig(1963)は視知覚を
図地弁別・形態恒常性・
空間位置・空間関係などに構造化し、
DTVP(Developmental Test of Visual Perception)として体系化した。
見た形を運筆・構成へ変換する力は VMI(視覚運動統合:Beery VMI)で評価され、
形の模写や文字形成の予測因子となる。視知覚の弱さは
書字や読みの困難(ディスレクシア圏)と関連しうるが、
言語・音韻要因との鑑別が前提となる。
背景には腹側経路(what)と背側経路(where)の働きがあり、
感覚統合(A.J. Ayres)の眼球運動・姿勢制御とも連続する。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 視知覚(DTVP)と 視覚運動統合(VMI)を分けて 評価し弱い構成要素を特定
- 視力・眼球運動を先にスクリーニングし、知覚課題と 切り分ける
- TEACCH視覚的構造化:明瞭性・余白で 図地弁別の負荷を最小化
- OT/ST連携指標:模写の歪み・左右反転の持続・読み速度と正確性の乖離
- 個別支援計画に スモールステップ(弁別→構成→運筆)の段階目標を反映