一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
時間概念って「見えない流れ」がわかること
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
時間概念とは、「さっき・いま・あとで」という見えない流れがわかる力のこと。
時計が読めることより前に、「もうすぐ終わる」「次はこれ」という見通しを感じられることが大切です。
時間は目に見えないから、子どもには一番むずかしいもの。
「あと3回ですべり台はおしまい」と見える形にすると、すっと安心できます。
いま▸
もうすぐ▸
つぎ▸
あとで▸
きのう・あした
療育アプローチ① 見通しの土台をつくる
家庭でも、時間を 「目で見える形」 にするだけで安心が増えます。
- 砂時計やタイマーで「あとどれくらい」を見せる
- 「ごはん→おふろ→ねんね」を絵や写真で並べる
- 急かさず「あと1回でおしまいね」と予告する
- 「きのう楽しかったね」と一緒に時間を振り返る
LEVEL 2
「待てない」は時間が見えていないサイン
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたい子どものサイン
時間概念がまだ育つ途中の子は、流れの見通しが持てずに不安が高まります。
「困った行動」を 時間が見えていないサイン として読み解きます。
- 「あと少し」が伝わらず、切り替えで崩れる
- 「待ってね」で待てない=終わりが見えない不安
- 順番や次の活動を何度も確認したがる
- 過去・未来の話(きのう/あした)がかみ合いにくい
療育アプローチ② 時間の構造化と施設実装
- 視覚スケジュール:一日の流れを絵カードで左→右に提示
- タイマー・砂時計で「残り時間」を量として見える化
- 終わった活動カードを外し「もう終わり」を体感させる
- 体操6コース:「マット→フープ→おしまい」と順番を予告
- ぴょんぴの色ゾーニングで「次の場所」を空間でも示す
LEVEL 3
継時処理・時系列理解と構造化の神経基盤
専門職・OT/ST連携/次へつなぐ
理論的背景と他アプローチとの関係
時間概念は 継時処理(sequential processing)を基盤とし、
出来事を時系列の理解として並べる力に支えられる。
ワーキングメモリと遂行機能が未成熟だと、
「今・次・終わり」の保持が難しく見通し不安が生じる。
TEACCHの時間の構造化は、見えない時間を空間配置に変換する介入で、
TEACCHスケジュール・タイマーや砂時計の視覚化がこれにあたる。
Kaufman(K-ABC)の継次処理優位/Sensory Profileの覚醒水準も併せて評価する。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 継次/同時処理プロファイルに応じ提示順序を調整
- 抽象的時間語の前に具体物・量的提示(砂時計)を優先
- ST連携:時間語彙・物語の時系列叙述(ナラティブ)を評価
- OT連携:覚醒水準と注意持続が見通し保持に与える影響を共有
- 個別支援計画に「見通しの提示方法」を明文化し家庭・学校へ接続