STAFF NOTE 48 / PART V 発達障害の理解 / 3段階解説

ASD(自閉スペクトラム症)ってなあに?— じへいすぺくとらむしょう/Autism Spectrum Disorder —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 ASDは「世界の感じ方・伝わり方がちょっとちがう」こと 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

ASDとは、まわりの感じ方や、気持ちの伝え合い方が「みんなとちょっとちがう」 特性のことです。 だめなところではなく、その人ならではの「世界の見え方」。 音やひかりが強く感じられたり、好きなことにとことん集中できたりします。

たとえば いつもと同じ順番だと安心する、電車や数字のことならだれより詳しい—— そんな「らしさ」もASDの大切な一部です。

音・光に敏感 好きに夢中 同じが安心 正直・まっすぐ

療育アプローチ① 安心できる伝え方をつくる

  • 言葉だけでなく 絵・写真 で「次はなにをするか」を見せる
  • 家でも 1日の流れを見える化 して見通しをつくる
  • 苦手な音・光は減らし、好きなことは思いきり伸ばす
  • 「ちがい」を直すのではなく 強みとして大切にする
LEVEL 2 「困りごと」は"特性のサイン"として読み解く スタッフ・支援者向け/現場で活かす

気づきたい特性のサイン

困った行動として見えるものも、本人なりの理由がある特性のサインとして読み替える。

  • 急な予定変更で混乱 = 見通しを大切にするサイン
  • 視線が合いにくい・会話がかみ合わない = やりとりの仕方がちがうサイン
  • 同じ遊びを繰り返す・こだわる = 安心と興味の深さのサイン
  • 耳ふさぎ・偏食・触感の拒否 = 感覚の感じ方がちがうサイン

療育アプローチ② 施設での環境と関わり

  • TEACCH構造化:場所・順番・終わりを視覚スケジュールで明示
  • Low Arousal設計:刺激を抑えた空間で感覚の負担を減らす
  • 体操6コース:好きな感覚から入り、スモールステップで挑戦
  • 予定変更は 事前に視覚で予告 し、見通しを保つ
  • 個別支援計画に 強み・興味 を起点として書き込む
LEVEL 3 スペクトラムとして捉える神経発達の多様性 専門職・OT/PT/ST・医療連携/次へつなぐ

診断基準と理論的背景

DSM-5 はASDを2領域で定義する: 社会的コミュニケーションの違い限局的・反復的な行動や興味(RRB)。後者には 感覚特性 も含まれる。 Lorna Wing3つ組 を統合し、明確な境界ではなく スペクトラム連続体 として記述する点が要点。

歴史的には Kanner(1943)と Asperger(1944)の報告に始まる。 今日は ニューロダイバーシティ の視点が主流で、 集中力・記憶・誠実さ・規則性といった 強み を前提に支援を設計する。

療育アプローチ③ 評価と多職種連携

  • OT:感覚プロファイル評価で過敏/低反応を整理し環境調整へ
  • ST:表出・受容・語用論を評価し、視覚・代替手段を補完
  • PT:協調運動・姿勢の特性を体操コースの段階づけに反映
  • 医療連携:併存(ADHD・知的特性・睡眠・不安)を視野に情報共有
  • 合理的配慮:本人の 自己理解と意思決定(QOL) を中心に据える