一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
ADHDは「エンジンが元気で、ブレーキの練習中」な特性
小学生・保護者・本人向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
ADHDとは、気持ちやからだのエンジンがとても元気で、
「今はストップ」「あとでやろう」とブレーキをかけるのを練習している特性のことです。
わざとでも、なまけでもありません。脳の働き方の個性のひとつです。
こんな様子としてあらわれます。
気が散りやすい
じっとが苦手
パッと動く
※元気なエンジンは 行動力・ひらめき・好奇心 という大きな強みにもなります。
療育アプローチ① 安心して動ける土台をつくる
- 「ダメ」より 「こうしよう」 と次の行動を短く伝える
- うまくいった瞬間を すぐその場でほめる
- 動いてOKな時間・場所を家庭でもつくっておく
- やることは ひとつずつ、見える場所に置く
LEVEL 2
3つの特性を「困りごと」でなく「サイン」と読む
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
不注意・多動性・衝動性の読み解き
不注意
聞き逃す・忘れ物。「興味の対象が豊かで切り替え中」のサイン。
多動性
離席・そわそわ。「からだで覚醒を整えている」サイン。
衝動性
待てない・口が先。「発想と行動力が速い」サイン。
大切な姿勢:行動を止めにいくのではなく、
環境のどこが合っていないかを先に見る。
療育アプローチ② 施設での環境調整
- 体操6コース:活動前にラダー・トランポリンで余分なエネルギーを整える
- 視覚支援:手順を1〜3に分け、終わりを見える化
- Low Arousal設計:掲示・音・動線の刺激を減らし注意を守る
- 注意が向いた一瞬を逃さず すぐ承認する
LEVEL 3
実行機能・報酬系・神経基盤との接続
専門職・医療/OT/PT/ST連携/次へつなぐ
診断基準と理論的背景
DSM-5 ではADHDは 不注意・
多動性/衝動性の2次元で、12歳以前・複数場面での持続を要件とする
神経発達症と位置づけられる。中核は 実行機能(executive function)の調整の偏りにある。
Barkleyモデルは中核を 行動抑制(behavioral inhibition)の差ととらえ、
ワーキングメモリ・自己制御へ波及すると説明する。神経基盤として
報酬系(ドパミン)の働きが関与し、即時報酬への感受性として現れる。
支援の主眼は行動を抑え込むことでなく、環境調整と 合理的配慮にある。
行動力・発想力・好奇心を強みとする ニューロダイバーシティの視点を基盤に置く。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 実行機能を分解して評価:抑制・切替・ワーキングメモリ別に支援を設計
- 報酬設計:即時・小刻みなフィードバックで動機づけを支える
- 個別支援計画に 強み(行動力・発想力)起点の目標を明記
- 医療連携:服薬は環境調整と併走、生活機能で効果を共有
- OT=感覚・覚醒調整、ST=指示理解と語想起の連携指標を持つ