STAFF NOTE 49 / PART V 発達障害の理解 / 3段階解説

ADHDってなあに?— えーでぃーえいちでぃー/ADHD —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 ADHDは「エンジンが元気で、ブレーキの練習中」な特性 小学生・保護者・本人向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

ADHDとは、気持ちやからだのエンジンがとても元気で、 「今はストップ」「あとでやろう」とブレーキをかけるのを練習している特性のことです。 わざとでも、なまけでもありません。脳の働き方の個性のひとつです。

こんな様子としてあらわれます。

気が散りやすい じっとが苦手 パッと動く

※元気なエンジンは 行動力・ひらめき・好奇心 という大きな強みにもなります。

療育アプローチ① 安心して動ける土台をつくる

  • 「ダメ」より 「こうしよう」 と次の行動を短く伝える
  • うまくいった瞬間を すぐその場でほめる
  • 動いてOKな時間・場所を家庭でもつくっておく
  • やることは ひとつずつ、見える場所に置く
LEVEL 2 3つの特性を「困りごと」でなく「サイン」と読む スタッフ・支援者向け/現場で活かす

不注意・多動性・衝動性の読み解き

不注意 聞き逃す・忘れ物。「興味の対象が豊かで切り替え中」のサイン。
多動性 離席・そわそわ。「からだで覚醒を整えている」サイン。
衝動性 待てない・口が先。「発想と行動力が速い」サイン。

大切な姿勢:行動を止めにいくのではなく、 環境のどこが合っていないかを先に見る。

療育アプローチ② 施設での環境調整

  • 体操6コース:活動前にラダー・トランポリンで余分なエネルギーを整える
  • 視覚支援:手順を1〜3に分け、終わりを見える化
  • Low Arousal設計:掲示・音・動線の刺激を減らし注意を守る
  • 注意が向いた一瞬を逃さず すぐ承認する
LEVEL 3 実行機能・報酬系・神経基盤との接続 専門職・医療/OT/PT/ST連携/次へつなぐ

診断基準と理論的背景

DSM-5 ではADHDは 不注意多動性/衝動性の2次元で、12歳以前・複数場面での持続を要件とする 神経発達症と位置づけられる。中核は 実行機能(executive function)の調整の偏りにある。

Barkleyモデルは中核を 行動抑制(behavioral inhibition)の差ととらえ、 ワーキングメモリ・自己制御へ波及すると説明する。神経基盤として 報酬系(ドパミン)の働きが関与し、即時報酬への感受性として現れる。

支援の主眼は行動を抑え込むことでなく、環境調整合理的配慮にある。 行動力・発想力・好奇心を強みとする ニューロダイバーシティの視点を基盤に置く。

療育アプローチ③ アセスメントと連携

  • 実行機能を分解して評価:抑制・切替・ワーキングメモリ別に支援を設計
  • 報酬設計:即時・小刻みなフィードバックで動機づけを支える
  • 個別支援計画に 強み(行動力・発想力)起点の目標を明記
  • 医療連携:服薬は環境調整と併走、生活機能で効果を共有
  • OT=感覚・覚醒調整、ST=指示理解と語想起の連携指標を持つ