STAFF NOTE 52 / PART V 発達障害の理解 / 3段階解説

知的発達症ってなあに?— ちてきはったつしょう/Intellectual Disability —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 「ゆっくり育つ・自分のペースがある」という特性 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

知的発達症とは、考えたり覚えたり、毎日のことを自分でこなす力が、ゆっくり育っていく という特性のこと。 できないのではなく、わかる速さやちょうどいい量が、その人それぞれ なのです。

一歩ずつ・くりかえし伝えると、ちゃんと身についていきます。 得意なこと・好きなことは、だれにでもたくさんあります。

やさしい こつこつ まじめ 好きに夢中 マイペース

療育アプローチ① 「できた」を一緒に増やす

家庭では 小さく分けて・ゆっくり・くりかえし が合言葉。

  • やることを 1つずつ 短い言葉と絵で伝える
  • 「できた!」をその場でいっぱい一緒に喜ぶ
  • 急がせず、本人のペースの成功を待つ
  • 好きなこと・得意なことを入口に誘う
LEVEL 2 「知的機能」と「適応機能」の両面でとらえる スタッフ・支援者向け/現場で活かす

困りごとを「サイン」に読み替える

理解の速さ(知的機能)だけでなく、生活の中でこなす力(適応機能)の両面で見るのが大切。 つまずきは「できない子」ではなく、支援の量・伝え方を調整するサイン です。

  • 指示が通らない=一度に伝える量が多すぎるサイン
  • 同じ失敗をくり返す=手順の見える化が足りないサイン
  • 切り替えにくい=見通しが立っていないサイン
  • 身辺自立が進みにくい=スモールステップ化の余地がある
  • 抽象的な話で固まる=具体・実物で示すと伝わりやすい

療育アプローチ② 施設での関わりと環境

  • TEACCH構造化:手順を写真・絵カードで一目に
  • スモールステップ:課題を分け、達成を可視化
  • 体操6コース:成功体験を体で重ねる(マット・ラダー等)
  • Low Arousal設計:刺激を減らし「わかる」に集中できる場へ
LEVEL 3 DSM-5の診断概念と「必要な支援の程度」 専門職・医療連携/次へつなぐ

診断概念とニューロダイバーシティ

DSM-5 では 知的機能(推論・学習等)と 適応機能 の両方の制約で定義され、重症度は IQ値ではなく 必要な支援の程度(軽度〜最重度)で記述される。発達期の発症が要件。

適応機能は 概念的社会的実用的 の3領域で評価する (AAIDD モデルと整合)。診断名は欠陥ではなく特性の説明であり、 合理的配慮できることに着目 する視点を前提に運用する。

療育アプローチ③ アセスメントと連携

  • 知能検査(WISC等)+ 適応行動尺度(Vineland-II) を併用評価
  • 環境因子を含む ICF 視点で「支援で広がる力」を記述
  • OT/ST連携:微細運動・コミュニケーション手段(AAC含む)を補強
  • 医療連携:併存する てんかん・感覚特性 の有無を共有
  • 個別支援計画に 強み・芽生え反応 を起点とした目標を設定