STAFF NOTE 53 / PART V 発達障害の理解 / 3段階解説

トゥレット症ってなあに?— とぅれっとしょう/Tourette Syndrome —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 体が「自分で動いちゃう・声が出ちゃう」ことがある特性 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

トゥレット症とは、自分の意思とは関係なく、体がぴくっと動いたり声が出たりする「チック」がつづく 特性です。 まばたき・首振り・せき払いなどがよく見られます。

大切なのは 「わざとではない」 こと。くしゃみを我慢しにくいのと同じで、本人もコントロールしづらいのです。 緊張すると増え、リラックスすると減ることもあります。とがめたり、まねしたりしない のが安心の第一歩。

※「やめなさい」と言うほど気になって増えることも。気づいても、そっとしておくのがやさしさです。

療育アプローチ① 安心できる空気をつくる

  • チックに気づいても 指摘しない・注目しない
  • 「わざとじゃないよ」と本人もきょうだいも安心できる言葉を
  • からかいには大人が間に入り、本人を守る
  • 家庭ではゆったりした時間で 緊張をためこまない
LEVEL 2 チックは「波がある」もの。観察して支える スタッフ・支援者向け/現場で活かす

気づきたいサインと読み解き

チックには 運動性(動き)音声性(声) があり、日や時間で強さが変わります。 「増えた」のは 調子が悪いのではなく緊張のサイン と読み替えます。

  • まばたき・肩すくめ・首振りなど 動きのチック
  • せき払い・鼻すすり・短い発声など 声のチック
  • 「出る前にムズムズする」前ぶれを訴えることがある
  • 疲れ・緊張・退屈・注目で増え、集中・安心で減る
  • 叱責や注目は逆効果=増悪のサインになりやすい

療育アプローチ② 環境とかかわりを整える

  • チックは スルー。減ったときも触れず、自然体で接する
  • Low Arousal設計で 刺激と緊張を最小化 した空間に
  • 体操6コース(マット・ボールプール等)で 体を動かし発散
  • 「ムズムズしたら使える落ち着きスペース」を視覚的に用意
  • 本人と相談し、無理のない 個別支援計画 に位置づける
LEVEL 3 診断基準・神経基盤・併存と支援技法 専門職・医療連携/次へつなぐ

定義・併存・神経基盤

DSM-5 では、複数の運動性チックと1つ以上の音声チックが 1年以上持続し18歳未満で発症する場合をトゥレット症とする。多くは出現前に前駆衝動を伴う。

背景には皮質-線条体-視床-皮質回路(CSTC)とドパミン系の関与が想定される。 ADHDOCD併存が高頻度で、生活上の困難はチック単独より併存特性に由来することも多い。

支援の基本は薬物より行動的介入。CBIT(包括的行動的介入)やハビットリバーサルが エビデンスを持ち、抑制ではなく本人主体の拮抗反応を学ぶ点が要となる。

療育アプローチ③ 連携と合理的配慮

  • 大原則は わざとではない指摘しない配慮を全員で共有
  • 急な悪化・自傷的チック・併存の困難は 児童精神科・小児神経
  • CBIT/ハビットリバーサルは 専門機関と連携し本人の同意のもとで
  • 学校への 合理的配慮:別室受験・離席許可・からかい防止を橋渡し
  • OT/PT/ST連携:発散・呼吸・覚醒調整やコミュニケーション面を協働評価