一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
「生まれつきの特性」と「育ちの中で生まれた不安」を分けて見る
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
愛着とは、こわい時・不安な時に「この人のところに戻れば大丈夫」と思える、
子どもと大人の心のきずなのこと。これがうまく結べないと、
人との距離感がつかみにくくなることがあります。
にているように見えても、生まれつきの特性(自閉スペクトラム)と
育ちの中の不安(愛着)ではなかみが違います。どちらも「その子が悪い」のではなく、
決めつけず、まわりが安心できる関係と環境を整えることが出発点です。
療育アプローチ① 安心の土台をつくる
- 「困ったらここに戻ればいい」と思える安心の人・場所を一つ決める
- 笑顔・声・タッチや「行ってきます/ただいま」など、同じ関わりをくり返し予測できるようにする
- 抱っこや手つなぎは本人のペースで。無理に求めない
LEVEL 2
「人との距離感」のサインを、特性か関係かで読み解く
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたい子どものサイン
- 誰にでも無警戒に近づく/知らない人にもついていく
- 逆に、大人に甘えられず・頼れず一人で抱える
- 関わりが安定せず、近づいたり強く拒んだりが揺れる
- 関係が新しくなると大きく変わる(環境で表れ方が動く)
読み解きの視点:同じ「目が合いにくい」でも、特性なら場面を問わず一貫、
関係の不安なら相手や状況で変わりやすい。決めつけず観察を記録して持ち寄ります。
療育アプローチ② 施設での関わりと環境
- 担当を固定し「いつもの人・流れ」で安心を渡す。「試し行動」も関係を確かめるサインとして穏やかに受けとめる
- 視覚スケジュールで見通しを示し、不安からの行動を減らす
- Low Arousal設計で刺激を抑え、興奮や混乱を起こしにくく
- 体操6コースのボールプール・マットで安心して身を委ねる体験を
LEVEL 3
RAD・DSEDとASDの鑑別と、慎重な見立て
専門職・医療/心理連携/次へつなぐ
診断基準と鑑別の枠組み
DSM-5は愛着の困難を2類型で記載する。
反応性アタッチメント症(RAD)は抑制的な引きこもり、
脱抑制型対人交流症(DSED)は無警戒な接近が特徴で、いずれも
不十分な養育(insufficient care)の存在が診断要件となる。
ASDとの鑑別点は社会的相互性の一貫性にある。ASDは限局的興味・常同性を伴い
状況を超えて一貫するが、愛着の困難は安全基地(secure base / Bowlby)の不全と
養育環境・トラウマ背景を反映し関係性で変動しうる(併存もある)。
評価はStrange Situationや養育歴を含め多面的に行い、安易なラベリングを避ける慎重さが倫理的前提となる。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 発達歴・養育環境・関わりの変動を時系列で整理し見立てを共有
- 診断確定は医療・心理に委ね、施設は環境調整と安全基地の提供に徹する
- TEACCH構造化×安定した関係で、予測可能性と安心を同時に担保
- トラウマ背景が疑われる場合はトラウマインフォームドケアの視点で連携
- 児相・医療・心理との多職種連携で、家族を含めた支援計画へつなぐ