一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
特性は「重なる」ことがある/つらさは「あとから」防げる
小学生・保護者・本人向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
人は いくつもの特性をあわせ持つ ことがあります。これが 「併存」。
たとえば「集中の仕方が独特」と「動きたい気持ちが強い」が一緒にあるのは、ごく自然なことです。
いっぽう 「二次障害」 は、特性そのものではなく、まわりとうまく合わなかった経験が重なって、
あとから出てくる心のしんどさ。「どうせ自分はダメ」という気持ちや、行きしぶり・不安などです。
これは"防げる"のがいちばん大切なところ。
わかってもらえた
できた!
安心できる場所
ここにいていい
療育アプローチ① 安心と「できた」を貯める
家庭でも、叱る回数より「できた」を見つける回数を増やすことから。
- うまくいったら その場ですぐ 言葉と笑顔で返す
- 難しいことは 小さく分けて、一つできたら一緒に喜ぶ
- 「困った子」ではなく 「困っている子」 として見る
- 家を 安心して休めるホームベース に保つ
LEVEL 2
困りごとは「二次障害のサイン」かもしれない
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
気づきたいサインと読み替え
特性は重なって現れるのが むしろ普通。大切なのは、行動の奥にある
「合わなさ」や「疲れ」 に早く気づくこと。
- 登園・登校をしぶる → 環境が刺激過多のサイン
- 急に怒る・固まる → 「もう限界」のSOSのサイン
- 「やらない」と言う → 失敗を重ねた自信低下のサイン
- 表情が乏しい・眠れない → 不安や抑うつの芽のサイン
療育アプローチ② 予防=環境を先に整える
- TEACCH構造化:見通しを視覚化し「わからない不安」を減らす
- Low Arousal設計:音・光を抑え、心身が荒れる前に静める
- 体操6コース:成功しやすい課題で「できた」を毎回設計する
- 叱責の連鎖を断ち、肯定的注目へ職員間で統一
- 記録を共有し 「崩れる前の兆候」 をチームで先回り
LEVEL 3
併存症の理解と二次障害の予防的支援
専門職・医療連携/次へつなぐ
診断基盤と二次障害のメカニズム
DSM-5 はASD・ADHD等の comorbidity(併存) を明示的に許容しており、
ASDと ADHD、DCD(発達性協調運動症)、
限局性学習症 の重複は高頻度。併存は欠陥の累積ではなく特性の布置である。
一方 二次障害 は一次特性と環境の ミスマッチ の蓄積で生じる
不安症・抑うつ・不登校・
自己肯定感の低下であり、予防可能な領域である。鍵は早期の環境調整と
成功体験の意図的設計にある。
療育アプローチ③ 評価と医療連携
- 併存評価:ADOS-2/Conners 3/Sensory Profile を多面的に
- 二次障害の早期把握に 自己肯定感・QOL の経時モニタリング
- 合理的配慮と 個別支援計画 に予防目標を明記する
- OT/PT/STと連携し、協調運動や表出の 「できなさ」由来の挫折 を軽減
- 抑うつ・不眠が疑われれば 児童精神科 へ早期につなぐ