STAFF NOTE 03 / PART VI 療育の方法論 / 3段階解説

TEACCHってなあに?— ティーチ/Structured Teaching —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 TEACCHは「世界をわかりやすく整える」考え方 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

TEACCHは 自閉症のある人に世界をわかりやすく伝える ための考え方です。 言葉で何度説明されてもピンとこないことも、「目で見てわかる」 ようにすると、 すっと伝わることがあります。

活動の前にこの 5つ を見える化するのが基本です。

いつ? どこで? なにを? どれくらい? 終わったら?

※「治す」のではなく「自閉症の文化を尊重して、こちらが伝え方を整える」のがTEACCHの哲学。

療育アプローチ① 絵と写真で伝える

  • 言葉で言う前に 写真・絵カード を出す
  • ロッカー・席にマークを貼って「自分の場所」を見える化
  • 1日の流れを 視覚スケジュール で見せる
  • 「あと◯回」「これで終わり」を視覚で伝える
LEVEL 2 構造化には4つの柱がある スタッフ・支援者向け/現場で活かす

4つの構造化

① 物理的構造化 場所の意味を空間で明確化。エリア分け・仕切り・色ゾーニング。
② スケジュール 時間の流れを視覚化。順番・終了・次への移行を予測可能に。
③ ワークシステム 「何を/どれだけ/終わったら何」を一目で。左から右、上から下。
④ 視覚的構造化 教材・課題そのものを構造化。明瞭性・組織化・視覚的指示。

大切な姿勢:「困った行動」をなくす発想ではなく、 本人の強み(視覚優位・規則性への愛着・興味)を活かす 発想で組み立てる。

療育アプローチ② 施設での実装

  • 物理的:床色で活動エリアを明示(くれよん施設の床長尺シート)
  • スケジュール:個別の絵カード・写真スケジュール
  • ワーク:左→右の課題箱、終了箱の徹底
  • 視覚的:余白を多く、刺激を減らした教材
  • 個別評価に基づき 一人ひとりの構造化レベル を調整
  • 「うまくいかない=構造化が合っていない」と捉え直す
LEVEL 3 自閉症の文化を尊重する生涯発達モデル 専門職・施設設計/次へつなぐ

理論的背景と他アプローチとの関係

1972年、Eric Schoplerらが米ノースカロライナ大学(UNC)で開始した 生涯にわたる包括的支援システム。中核思想は Autism Culture(自閉症は治療対象ではなく尊重すべき文化)と Structured Teaching

ABAが 行動を変える 介入であるのに対し、TEACCHは 環境を整える 介入。 両者は対立ではなく補完関係。評価には PEP-3(児童期)・ TTAP(青年期以降)が用いられる。

現在は ニューロダイバーシティの文脈とも親和的で、強み・興味を起点とした 自己決定的な人生設計(QOL重視)へと展開している。

療育アプローチ③ 施設設計と低刺激の統合

  • ぴょんぴくれよんの床長尺シート色ゾーニング・壁色計画は物理的構造化の実践
  • TEACCH × Low Arousal設計:構造化+刺激最小化は理論的に同根
  • 個別支援計画にPEP的視点(強み・興味・芽生え反応)を統合
  • 家族支援への展開:家庭でも構造化を持ち帰れる素材提供
  • 学齢期移行:学校との連携で構造化を継続させる視点
  • 誤解への対処:「TEACCH=絵カード」ではなく、個別性に基づく環境調整の総体