一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
ABAは「行動のまわり」を見て関わる考え方
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
ABAは 行動の「前」と「後」を見て、関わり方を工夫する 考え方です。
人の行動には、きっかけ(前) と その後に起きたこと(後) がいつもセットになっています。
うれしいことがあった行動は また増え、何も起きなければ だんだん減る。
「おもちゃを片づけたら『ありがとう』と笑顔をもらえた」から、また片づけたくなる——これがABAの土台です。
きっかけ▸
行動▸
うれしい結果▸
また増える
療育アプローチ① できた瞬間をほめる
叱って減らすより、「できた」をすかさず認める 関わりを家庭でも。
- できた行動は その場ですぐ ほめる・喜ぶ
- 「やめなさい」より「○○してね」と してほしい行動 を伝える
- むずかしい課題は 小さく分けて 一段ずつ達成する
LEVEL 2
行動を「ABCの3点」で読み解く
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
ABC分析という観察の枠組み
A 先行(前)
行動の直前の状況・きっかけ。場面・指示・刺激。
B 行動
実際に起きたこと。だれが見ても同じに数えられる形で。
C 結果(後)
行動の直後に起きたこと。注目・要求の実現・回避。
大切な姿勢:「困った行動」も 本人なりの意味をもつサイン。
A・Cを記録すると「何を伝えたかったのか」が見えてきます。
療育アプローチ② 観察と環境で整える
- 気になる行動は A→B→Cの順で記録し、機能(注目・要求・回避)を読む
- TEACCH構造化でAを整える:見通しが立てば不安からの行動が減る
- 体操6コースで「できた→認める」の 成功体験を意図的に設計
- 望ましい行動を 増やす方向で支える(叱責に頼らない)
LEVEL 3
行動原理・分化強化・倫理的配慮
専門職・他職種連携/次へつなぐ
理論的背景と他アプローチとの関係
応用行動分析は B.F. Skinner の
オペラント条件づけを基盤とし、行動を 先行刺激(A)・行動(B)・結果(C)の
随伴性で捉える。結果により行動頻度が増すのが 強化、随伴性が断たれ減衰するのが 消去。
現在の主流は罰の最小化を前提に、望ましい行動を選択的に育てる 分化強化。
動機づけの可視化に トークンエコノミーを用いる。介入前には
機能的行動評価(FBA)で行動の機能を同定する。
TEACCHが環境を整えるのに対しABAは随伴性を整える介入で、両者は補完関係。
過去の嫌悪的手続きへの反省から、本人の尊厳と社会的妥当性を重んじる倫理が国際的標準となっている。
療育アプローチ③ 倫理と連携の視点
- 個別支援計画に FBA→仮説→分化強化の流れを位置づける
- Low Arousal設計:先行刺激の調整は「行動を減らす」前の環境整備
- OT/PTと連携:感覚要因が機能(回避・自己刺激)に関わる行動を鑑別する
- STと連携:要求行動を 機能的コミュニケーションへ置換し育てる
- 倫理指標:本人の 同意・尊厳・QOL を最優先し、嫌悪手続きを用いない