一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。
各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1
感覚統合療法は「からだの感覚を遊びで整える」こと
小学生・保護者向け/全容ざっくり
かんたんに言うと
感覚統合療法とは、たくさんの感覚を脳が「ちょうどよく」まとめる力を、遊びを通して育てる 関わりです。
ブランコでゆれる、跳ねる、ぎゅっと押される——そんな からだ全体の感覚 がうまくまとまると、
姿勢が安定したり、気持ちが落ち着いたりします。
大切なのは 「本人が楽しい!」と思える遊び であること。やらされるのではなく、
自分から挑戦したくなる遊びの中でこそ、力は自然に育ちます。
ゆれる
跳ねる
ぎゅっ
のぼる
ぶら下がる
療育アプローチ① 楽しい感覚あそびから
まずは 本人が「もう1回!」と思える遊び を一緒に。
- ブランコ・トランポリン・布のハンモックでゆれを楽しむ
- 毛布でぐるぐる巻き・ぎゅっと抱っこで「押される心地よさ」を
- クッションの山にダイブ・よじのぼりで全身を使う
- 家庭でも「楽しそう?怖そう?」を見ながら無理なく
LEVEL 2
3つの感覚と「ちょうどいい挑戦」を見る
スタッフ・支援者向け/現場で活かす
土台となる3つの感覚
前庭感覚
ゆれ・回転・傾き。姿勢とバランス、覚醒の調整に関わる。
固有覚
筋肉・関節の感覚。力加減と「ぎゅっ」で気持ちを整える。
触覚
触れる・触れられる感覚。安心感や警戒のもとになる。
読み替えの視点:「落ち着きがない」は 感覚を求めるサイン、
「触られるのを嫌がる」は 感覚に敏感なサイン。困りごとではなく整え方のヒントとして読む。
療育アプローチ② 体操6コースで実装
- バランスボード:ゆれを与えて前庭感覚を心地よく刺激
- ボールプール:全身が包まれ固有覚・触覚をたっぷりと
- ラダー:跳ぶ・またぐで「ちょうどいい挑戦」を段階調整
- フープ:くぐる・のぼるで姿勢と身体の地図を育てる
- 本人が選び・成功する設計に。難しすぎ/易しすぎは避ける
LEVEL 3
Ayres理論・適応反応・OT専門性との接続
専門職・OT/PT/ST連携/次へつなぐ
理論的背景と他アプローチとの関係
1970年代に作業療法士 A. Jean Ayres が体系化した
Sensory Integration 理論に基づく。中核は
前庭覚・固有覚・触覚 の統合と、
子どもが環境に主体的に対応して生み出す 適応反応(adaptive response)。
原理は 遊び中心(child-directed) と、能力よりわずかに高い課題を設定する
just right challenge。介入は 感覚調整(sensory modulation) の評価を前提とし、
Sensory Profile 等で感覚プロファイルを把握する。ABAやDIR/Floortimeとは補完関係にある。
療育アプローチ③ アセスメントと連携
- 感覚探求/回避/低登録の プロファイル別 に活動を設計
- 体操6コースを「適応反応を引き出す感覚メニュー」として個別支援計画へ統合
- Low Arousal設計=過剰刺激を減らし、感覚調整の土台を整える環境づくり
- OT/PTへの相談指標:感覚過敏・両側統合や動作企図(praxis)の未熟さ
- STとの連携:感覚調整の安定が、注意・発声・やりとりの前提になる視点