STAFF NOTE 70 / PART VII アセスメントと環境設計 / 3段階解説

物理的構造化ってなあに?— ぶつりてきこうぞうか/Physical Structure —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 物理的構造化は「ここは何をする場所」を見せること 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

物理的構造化とは、「この場所は何をするところか」を見ただけでわかるように、空間を整えること。 言葉で「ここで遊ぶよ」と言わなくても、床の色や仕切りを見れば自然と伝わるようにします。

おうちでも同じ。食べる場所・寝る場所・遊ぶ場所が分かれていると、気持ちがすっと切り替わります。 場所と活動が ひとつずつ結びつく と、子どもは安心して過ごせます。

遊ぶ場所 食べる場所 おべんきょう おやすみ おかたづけ

療育アプローチ① 場所をひとつに決める

まずは 「ここでこれをする」を場所で固定 してあげると伝わります。

  • 食事は決まったテーブル、遊びは決まったマットの上で
  • おもちゃ箱に 写真ラベル を貼って「戻す場所」を見える化
  • 勉強机からはおもちゃが見えないよう向きを工夫する
  • 場所を急に変えず、毎日同じ並びを保つ
LEVEL 2 エリア分け・仕切り・刺激の調整で「迷わない空間」へ スタッフ・支援者向け/現場で活かす

3つの設計ポイントと読み解き

物理的構造化は ①エリア分け ②仕切り ③刺激の調整 の3つで組み立てます。 子どもの困りごとは、空間からの 「わかりにくさのサイン」 として読み替えます。

  • うろうろ歩き回る → 「どこで何をするか」が未提示のサイン
  • 活動に集中できない → 視界の刺激が多すぎるサイン
  • 場所の移動でパニック → 境界があいまいなサイン
  • 片づけが続かない → 戻す場所が見えていないサイン

療育アプローチ② 施設での実装

  • 床長尺シートの色ゾーニング(ぴょんぴくれよん)で活動エリアを明示
  • 棚・パーテーションで 1エリア=1活動 に区切る
  • 体操6コースは マット・フープ等で範囲を物理的に提示
  • 集中課題は壁向き席にし、視界の刺激を最小化(Low Arousal)
  • 動線が交差しないよう 入口→活動→片づけを一方向に
LEVEL 3 TEACCH物理的構造化の理論と環境アセスメント 専門職・施設設計/次へつなぐ

理論的背景と他アプローチとの関係

Physical Structure はTEACCH(Schopler, UNC)の構造化の第一の柱。 中核原理は 場所と活動の1対1対応で、空間が活動の意味を視覚的に提示する。 境界が不明瞭だと 刺激の調整 が働かず、注意の転導や見通しの欠如を招く。

自閉症の 視覚優位 と細部への注意特性を強みとして活用する設計であり、 感覚統合の前庭・固有覚負荷を空間配置で調整できる点でOT領域と接続する。 評価には 環境アセスメント機能的行動評価を併用する。

療育アプローチ③ アセスメントと連携

  • 行動観察記録で「混乱が起きる場所・時間」を空間要因から分析
  • 個別支援計画に物理的構造化の調整項目を明文化し定期見直し
  • ぴょんぴの 色ゾーニングLow Arousal設計と統合運用
  • OT/PT連携指標:感覚過敏・覚醒水準・動線負荷を環境調整で評価
  • ABA(行動)と環境調整は補完関係——空間で 先行刺激を整える視点