STAFF NOTE 73 / PART VII アセスメントと環境設計 / 3段階解説

ユニバーサルデザインってなあに?— ゆにばーさるでざいん/Universal Design —

一つのテーマを レベル1(やさしく全容)/レベル2(深く実践的に)/レベル3(専門的・次へつなぐ) の3段階で。 各レベルに 療育的アプローチ を併記し、概念と現場をつなぎます。
LEVEL 1 はじめから「みんなが使いやすい」ようにつくること 小学生・保護者向け/全容ざっくり

かんたんに言うと

ユニバーサルデザインとは、はじめから「だれもが使いやすい」ようにつくっておく工夫のこと。 あとから特別に整えるのではなく、最初からみんなにやさしい形にしておく考え方です。

自動ドアは、手がふさがった人も車いすの人も子どもも、みんなが同じように通れます。 こんなふうに 「だれか専用」じゃなく「みんなの当たり前」 になっているものが身近にたくさんあります。

自動ドア 絵の案内表示 広いトイレ スロープ

療育アプローチ① 家庭でも「わかりやすく」

特別な道具より、まず みんなが迷わない見せ方 から。

  • 引き出しに 中身の写真 を貼り、誰でも戻せるように
  • 1日の流れを 絵や文字 の両方で示す
  • 持ち物の置き場所を色やマークで 見える化
  • 「言葉だけ」に頼らず、見て触れてわかる形を足す
LEVEL 2 「個別配慮」の前に「土台の使いやすさ」を整える スタッフ・支援者向け/現場で活かす

環境を点検する視点

UDは 全員に効く土台、個別配慮は その上に乗せる調整。 まず土台を整えると、特別な手立てが必要な場面そのものが減ります。

整えたい環境のサイン:

  • 口頭指示が伝わりにくい→案内や手順を 視覚化
  • 場所で迷う・落ち着かない→床色や仕切りで 意味を明示
  • 音や光で疲れやすい→刺激量を 選べる よう調整
  • 「困った行動」は 環境がまだ合っていないサイン と読み替える

療育アプローチ② 施設での実装

  • 床ゾーニング:ぴょんぴくれよんの床長尺シート色分けで活動の場所を明示
  • 物理的構造化:仕切り・棚で「ここで何をするか」を空間で伝える
  • 体操6コース:難度を選べる設定で、全員が達成感を持てる入口に
  • 行動観察記録:迷い・つまずきを環境を整える手がかりとして記録
LEVEL 3 UDの7原則・UDL・合理的配慮との接続 専門職・施設設計/次へつなぐ

理論的背景と概念整理

Universal Design は1985年、建築家 Ronald Mace(米ノースカロライナ州立大)が提唱。 公平・柔軟・単純・明快・安全余裕・省力・空間確保からなる UDの7原則 を基盤とする。 学習場面に展開した UDL(学びのユニバーサルデザイン/CAST)は、提示・行動表出・取り組みの 複数手段を前提に設計する枠組みである。

UDが はじめから全員向けに設計する のに対し、合理的配慮個別の必要に応じ事後的に調整する点で異なる(補完関係)。両者を重ねることで インクルーシブ環境誰もが使いやすい場が成立する。

療育アプローチ③ アセスメントと連携

  • 環境評価に Sensory Profile 等を併用し感覚負荷を可視化
  • UD(土台)と個別の合理的配慮を 個別支援計画 で二層に整理
  • TEACCH × Low Arousal設計:構造化と刺激最小化はUDの実装形態
  • OT/PT/ST連携指標:移動動線・姿勢保持・伝達手段(AAC)の使いやすさを共同点検
  • 学校・地域への接続:UDLの視点で移行先にも 誰も排除しない設計 を引き継ぐ